鋳造と鍛造について
「⼆つの製法」
指輪を製作する過程の中で、指輪の性質を⼤きく左右するポイントがあります。それは、鋳造(ちゅうぞう)か鍛造(たんぞう)かということです。どちらの製法も⾒た⽬では分からない違いですが、実際には⼤きく特徴が異なりどちらもメリット、デメリットがあります。指輪以外の分野においても⾦属加⼯を⾏う際は、⼀般的にどちらかの⽅法が採⽤されます。指輪を選ぶ際は、鋳造と鍛造の特徴を踏まえて、決定することをおすすめします。
鋳造のメリット
1.豊富なデザイン
鋳造は、貴⾦属を溶かして型に流し込む製法です。デザイン性の⾼いものであっても製作することが可能です。例えば、しなやかなラインのS字(ウェーブ)やV字(U字)のフォルムであっても実現することが出来ます。
2.加⼯がしやすい
鋳造は加⼯しやすい特徴があります。指輪の中には加⼯が難しく、中には加⼯が不可能なものもありますが、鋳造は、デザイン上の問題がなければサイズ直し等の加⼯をすることが可能です。
鋳造のデメリット
1.耐久性は強くない
鋳造の型に流し込む製法では、地⾦の密度を⼗分に⾼めるのは難しく、耐久性においては鍛造に劣ります。⽇常⽣活においては問題ありませんが、使い⽅によっては指輪が⼤きく変形する可能性があります。
抑えておきたい重要ポイント
鋳造は、豊富なデザインを実現できることから、デザイン性に特化した製法といえます。ファッションジュエリーとしてジュエリーを楽しみたい⽅や、デザイン性の⾼い指輪を選びたい場合は「鋳造」がおすすめです。また、ほとんどのジュエリーは、この鋳造が採⽤されています。注意点としては、耐久性⾯を考慮して⼒仕事などを⾏う際は、地⾦が変形しないように指輪をはずして⾏うことをおすすめします。
鍛造のメリット
1.変形しずらい
鍛造は、貴⾦属を圧縮し、地⾦を鍛える製法です。⽇本では古くから採⽤されてきた伝統的な製法で、鍛造によって地⾦の密度が⾼くなり、耐久性を⾼める効果があります。
2.指通りよくつけ⼼地がよい
貴⾦属を圧縮することで、仕上げの研磨をした時に、指輪の表⾯に凹凸がつきにくく、美しく輝きます。また、肌触りがよく、重厚感のあるつけ⼼地を実現します。
鍛造のデメリット
1.コストがかかる
地⾦を圧縮し、指輪の形を整える作業は、⼀つ⼀つ職⼈の⼿作業によるものです。完成するまでにやや時間と⼿間がかかります。
2.デザインに制限がある
鍛造は、⾼い強度から、デザイン性に制限があります。鋳造のような、しなやかなラインを出すのは難しく、⽐較的シンプルなデザインになりがちです。また、指輪のサイズ直しが出来ないものがほとんどです。
3.サイズ直しが難しい
鍛造は、性質上サイズ直しが出来ない指輪がほとんどです。ブライダルリングの場合は、新しくサイズ違いのものを製作し、指輪の交新品換をする必要があります。
ここがポイント
鍛造は変形しにくい耐久性と、なめらかな指通りとつけ⼼地の良さに優れていることから、ブライダルリングで採⽤されることが多く、毎⽇指輪を⾝につける⽅や、⼒仕事をされる男性におすすめです。鍛造の性質上、指輪のサイズ直しが不可能なものが多いため、サイズが合わなくなった際は、ほとんどの場合指輪を作り直し、新しいものと交換する必要があります。鍛造によって製作された指輪は、「鍛造」と表記されますので、気に⼊った指輪が鍛造であった場合は、どのようなアフターサービスになるのか購⼊前に必ずチェックしておきましょう。